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第15話  

聡はついに警察に通報した。

警察は監視カメラの映像を調べ、最終的に私が行方不明になった場所が廃工場の近くであることを特定した。

その場所は廃工場ではあるが、雪が降ると、カップルが時折写真を撮りに来る、有名なロマンチックな場所だ。

聡は車を運転して、あの雪原にやって来た。

彼は雪の中でよろめきながら、大声で私の名前を呼んでいた。

そして、何かを思い出したように、信じられないという表情で近くの廃工場を見つめた。

彼はついに気づいたのか?

ここは、彼があの無名の女性の遺体を解剖した場所から、こんなにも近いのだ。

「東野さん、警察犬が雪の中でこれを見つけました」

一枚の血に染まった補聴器だった。

聡の表情は形容しがたい。驚き、そして信じられないような表情だ。

最後に、彼は高価なカスタムメイドの補聴器を一撃で壊した。

「ありえない……これは彼女のものじゃない……この世界には補聴器なんていくらでもある、彼女のものじゃない。彼女はまだ俺が帰って食事をするのを待っているんだ。俺……もう君と話さない……小星星は俺が帰って食事をするのを待っているんだ、俺……俺は家に帰ってご飯を食べる」

彼はまるで何かに取り憑かれたかのように、警察を押しのけ、ふらふらと家に向かって歩き始めた。

「星ちゃんはただ怒っているだけだ。そうだ、彼女は小さい頃からそうで、怒るとお兄ちゃんとかくれんぼをするのが好きだったんだ。大丈夫、ちょっと隠れていれば出てくるよ」

聡は帰る途中で大きなひまわりの花束を買った。

それは、私が一番好きな花だ。

彼は普段の落ち着いた様子に戻ったかのように見えた。

彼は空っぽの部屋に向かって叫んだ。「星ちゃん、ただいま」

「晩ご飯は何を食べる?」

「酢豚か」「星ちゃんが作った酢豚が一番おいしいんだ」

「星ちゃん、俺がこの期間の仕事を終えたら、結婚式を挙げようか?「旅行はどこに行きたい?国内?それとも国外?俺の休暇を計算してみよう。ここ数年、俺は休みなしで働いてきたから、1ヶ月くらい休めるはずだ……そうだ、1ヶ月の新婚旅行があれば、たくさんのことができるね?赤ちゃんは好きか?赤ちゃんを作ろうか?」

まるで、すべてが私たちが喧嘩する前に戻ったかのようだった。

その頃は、彼も私に話しかけてくれた。

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